多種多様なヤマザクラのある「小金井桜」を後世に残すことの意義
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玉川上水沿いの「小金井桜」は、徳川将軍吉宗の命により植えられたもので、これまで多くの人々のたゆまぬ努力によって、現代に受け継がれてきました。多種多様なヤマザクラで構成される並木景観が高く評価され、大正13年に名勝指定を受け、本年100周年を迎えることになりました。
この小金井桜は、武蔵野の新田開発にともなって、地域振興のために植えられたものとされ、江戸時代から多くの花見客でにぎわいました。JR中央線の前身である甲武鉄道が開通した時も、小金井桜を見物する人たちのために、臨時停車場が作られたほどです。それが今のJR武蔵小金井駅なのです。
このことからもわかるように、「小金井にあるから小金井桜」なのではなく、小金井桜の存在があったからこそ、今の小金井のまちがあるのです。このように、「小金井桜」は、地域の発展に大きな歴史的役割を果たしてきた貴重な文化財でもあります。
この節目の年に当たり「名勝小金井(サクラ)」は、地域の人々のたゆまぬ努力の歴史、多種多様な山桜を存続させてきた思いを、「明日の小金井」を担う子どもたちにしっかりと理解してもらいたいと考えました。そのため、「小金井桜」と同様のルーツを持つヤマザクラの苗木を市立小中学校の敷地内に植樹することとなり、この事業を行うにあたっては、小金井市の奉仕5団体の方々に多大なるご支援をいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
「歴史」を学ぶことは、単に過去を知るのではなく、歴史を作り上げてきた先人の思いとともに、それを成し遂げるための数多くの失敗と成功の裏にある先人たちの「知恵」や「心意気」を学ぶ場であり、未来を照らす羅針盤を手に入れることでもあります。
子どもたちが小金井桜の歴史を学ぶことを通して、自分が生まれ育ってきた「まち」小金井が大切にしてきた多様性を尊重する先人の思いとともに、郷土を愛する気持ちを深めてほしいと思います。そして、「今後とも小金井桜を守るために自分たちができることはないか」を考え続けてほしいと願います。
結びに、これまで、「名勝小金井(サクラ)復活事業」に携わってこられた市民団体の皆様を始めとした関係者、関係行政機関の皆様及び本記念事業の実施に際し、絶大なるご協力を賜りました「名勝小金井(サクラ)名勝指定100周年記念事業実行委員会」の委員の皆様を始め、ご協力を賜りました市内事業者の皆様に心より感謝を申し上げます。